目次
はじめに
第1章・DIY産直出版の提唱・なぜ手作りか
第2章・簡単製本術の紹介
目引き糸綴じ法
クルミ製本角布固め法
あくり製本キットでできること
あくり製本キットのラインナップ
第3章・本の基礎知識
書籍製作の基本知識
本の大きさ・用紙の種類
製本の基礎・上製本、並製本
面付け・折り丁・丁合
本の構成・各部の名称
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本をつくる基本工程
企画・執筆・編集
DTP作業・校正
印刷・製本
第4章・目引き糸綴じ法
目引き糸綴じ法に必要な道具
目引き糸綴じ法の製本手順
第5章・クルミ製本角布固め法
必要な道具・材料
あくり製本キットの基本手順
大きい判の表紙やカバーのかけ方
あくり製本キット・5冊製本用
おわりに
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(本文より)
はじめに
自分の本を出版しませんか。大手の有名な出版社から本を販売するのではありません。自分で執筆して、自分で印刷し、自分で製本し、自分で販売するのです。
Do it yourself.
自分で、できることはやってしまおう!つまりDIY出版です。それに、書き手が直接販売までやってしまう意味も加えて「産地直送出版」。両方あわせて『DIY産直出版』とこのシステムを呼んでいます。
根本的に書籍流通を変えてしまうものに「オンデマンド出版」というものがあります。注文を受けてから製本し販売する方式です。大手の資本のある会社が何千万円もする機械を開発してぼちぼちと実験しているようです。
私は、2年ほど前、「七つ屋」というネット書店兼編集プロダクションをつくり、「DIY産直出版」のマニュアルとして、手作り書籍『自分で本を出版する』の販売をはじめました。
書籍作りや編集工程の基本、ワードによるDTP操作と手作り製本の解説書です。
ネット上で公開し、注文を受けてから手作業で製本し、郵送していました。オンデマンド出版を個人で実践していたのです。
その後、多くの方に支持していただき、全国の多くの方々に購入していただきました。出版社や印刷所の方、作家やライターの方たちからも本を購入していただいたり、問い合わせをいただいたり、広く知れわたるところとなりました。
いくつかの出版社からは、パソコンとプリンターを使った本作りの類似本が出版されるようにもなりました。私から資料提供したところもありました。
今の出版流通の欠点を補う形で、「DIY産直出版」は少しづつですが、発展しています。「七つ屋」も現在の「あくり出版」として成長しています。
今回は、前著の『自分で本を出版する』にも解説していますが、製本技術のところを、その後の発展した内容も含めて姉妹編として本書にまとめることにいたしました。前著の『自分で本を出版する』は、若干の手直しをして『自分で本を出版する・ワードDTP編・DIY産直出版のススメ』として発行しています。
「ワードDTP編」と本書の「かんたん製本術編」の二冊で「DIY産直出版」の技術的なところの全体像を見ることが出来ます。
自分の著書を持つことを通して、自己の内面を高め社会に貢献できるよう、このDIY産直出版システムがお役に立つことを願ってやみません。
2003年9月 七 五郎
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第1章・DIY産直出版の提唱・なぜ手作りか
手作りにこだわるわけではありません。手軽に安く本を作りたいのです。印刷や製本の工場にあるような大型の機械は個人では購入できませんし、置く所がありません。
自費出版などを扱う出版社や印刷所もたくさんあります。しかし、費用がかかりすぎます。お金のことや、売れる、売れないと悩み事から解放され、のびやかに自分の思ったとおりの本を持ちたいというかたには、本書が参考になると思います。
手軽に安く自分の本を持ちたい、出来ればそれを販売して出版活動をしたい。そのお助けマンにこの手作り製本の技術とあくり製本キット、そして「DIY産直出版」の考えをシステムとして活用してください。
この「かんたん製本術編」には、七つ屋で当初行っていた製本方法、背の部分に目引きを入れて糸などで接着する方法と現在あくり出版で行っている製本方法で、更に少ない材料で強度を出した『クルミ製本角布固め法』を解説しています。
それぞれに七つ屋の活動やあくり出版へとDIY産直出版の活動を通してつちかった方法を全面公開しています。いかに簡単に身近にある道具でしかも安く自分の著書を作り上げるか、ということに焦点をあてています。
特別な材料を使わず、近所の文房具店やホームセンターなどで入手可能な材料のみでの製本方法です。身近なもので作ってしまうと言うことに限りなくこだわっています。ですから、多少の妥協もあります。紙はコピー用紙ですから、多少の裏写りもあります。そこが、どうしても気になる方は、お金をかけた自費出版の道にすすんでください。
背に目引きを入れて糸で補強する方法は、前著『自分で本を出版する』で解説した方法です。本書では、前著より詳しく解説しています。
『クルミ製本角布固め法』は、それよりも随分と進化しています。材料は少なくなりましたが製本の強度は増しています。さらに一度に5冊の製本が完成する方法も開発しました。ある程度の冊数を製作して配布や販売をしてみたい方には参考になるかと思います。
あくり出版は大手には出来ない、ゲリラ的な出版活動を応援しています。しかし、大手の出版社から自著が出版できればそれに越したことはありません。大いに有名になって稼いでください。大手の出版流通に乗らない小規模の出版活動をこの製本キットからはじめようと提案しています。
自費出版に何十万円、何百万円もつぎ込むのはチョッときついね〜、でも自分の本を持ちたい!という方にはピッタリの方法です。
印刷と製本装丁を業者に任せる自費出版とはひと味違うDIY出版。自分でできるところは自分でやっちゃオウといことです。そして、産直出版、インターネットを使って自分で販売してしまうのです。
常識はくつがえしましょう。誰がなにを言ってもやりたいことをやったもん勝ちです。勇気をもって自分の出版社を立ち上げましょう。
一家に一台製本の道具と技術を備え、一家にひとつのインターネット上の書店を開き、そこで自著を公開して販売するのです。
そんな家族がふえれば、書籍の流通がインターネットによって根本的に変化するのではないかと考えています。
またその先には、書籍の販売はデータのみとなり、そのデータを読む方法は様々。PCで読んだり、PDAでよんだり、携帯電話あり、そして自分でプリントし製本して読む。一家に一台製本キットの時代が来るかも知れません。
企画から執筆、編集、印刷、製本、販売と本が生まれる所から消費されるまでを一直線に産地直送してしまうDIY産直出版のシステムを個人が手に入れて、それがネットワーク化されたとき過激な勢力になると夢見ています。
ここでは、そのうちの製本技術に限って具体的に解説いたします。
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クルミ製本角布固め法
あくり製本キットでできること
現在のあくり出版ではこの方法で製本をしています。『クルミ製本角布固め法』のために開発した製本道具が「あくり製本キット」です。
いろいろ試せる製本道具です。「目引き糸綴じ法」でも製本可能です。
構造は単純ですが随所に工夫が施されて、手作り製本には非常に便利な道具です。
お手持ちのワープロソフトで完成した原稿を家庭用のプリンターで印刷し、ここでご紹介する製本方法で手作り本を作ります。ご紹介する製本方法は一例です。
さまざまに応用が出来ます。製本の基本は、本文の印刷してある紙をそろえて背を固め、冊子状にすることです。本文を紙の上でぱらぱらとめくって読めるようにすればいいのです。ですから、背の固め方、接着の方法はいろいろあります。
一般の書店で販売されている書籍は、上製本から
並製本、雑誌に至るまで様々な印刷物があります。それらの背のところを良く観察してください。いろいろな方法で製造されています。糸で綴じてあるもの強力な製本ボンドで接着してあるもの、ホッチキスでとめてあるだけのものなどです。
ここでは、製本材料を個人でも入手可能で近所の文房具店やホームセンターなどで買えるもの、しかも、安く仕上げることを前提にご紹介いたします。
あくり製本キットによるリジナル製本の基本のみをご紹介します。基本を習得して頂いて様々に応用してください。
あくり製本キットによる『クルミ製本角布固め法』とは、並製本に多用されている「無線綴じクルミ製本」を家庭にある材料だけで製作可能にした改良版の製本方法です。
「無線綴じクルミ製本」は、本の中身を冊子状にしたものを糸で綴じないでそのまま強力な製本用のボンドで厚手の表紙にくるむように接着したものです。
DIY産直出版では、これを身近な材料だけで完成させなければなりません。そこに登場したのが「角布固めです」正確には、背の天と地を包み込んで固定する方法です。
従来の製本方法でいう、和装本の「角布」を取り入れたものです。また洋装本では、今では飾りのようになっていますが、「花布」「ヘッドバンド、テールバンド」にも似たものです。
現代のビジネス書などで多用されている「無線綴じクルミ製本」と昔からの和装本の製本方法をミックスし、手軽な簡単製本としたのが、私の命名した『クルミ製本角布固め法』と言うことです。
背の部分を少し余分に接着するだけで専用のボンドもなしに充分実用に耐えるだけの接着力が出ることを発見しました。これを何度も実験して、今の方法に至っています。
また、専門の製本業者では、本を冊子状にしたときに天地と小口の三方を裁断機できれいに裁断します。そのために並製本は、表紙と本文の中身が同じサイズになっています。
個人では何百枚もいっぺんに裁断する大型の裁断機は入手できませんので、これを市販のコピー用紙などで再現する方法を考案しています。
この解説書が完成見本になっています。ここで解説している方法で製作していますので、出来栄えのイメージをつかめるかと思います。
この方法をマスターすれば、表紙に使用するものを厚手の上製本表紙に変更するだけで立派な上製本も作成可能です。様々に応用してください。
あくり製本キットにはA5、A4、B6、B5の大きさの本を1冊づつ製本する製本キットとA5、A4、B6、B5をそれぞれ5冊づつ一度に製本できるものと5種類のラインナップがあります。
この解説書では、1冊づつの製本方法と一度に5冊づつの製本方法を解説しています。
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おわりに
既存の出版流通業界に属さず、独自の出版方式を追求しています。出版と言う行為を個人のレベルまで低くして、出版文化の裾野が広がることを願って本書は作られたものです。
インターネットで自分の本屋を持ち注文をとり、その都度、製本しては発送する。完全なオンデマンド方式による産地直送出版です。
一度に何千冊、何万冊と売り出す出版方式はコストがかかりますので大手の出版社が行います。コストのかかる程度に応じて、売れる本しか出版流通にのりません。
しかし、個人の能力はもっともっと豊富に豊かに社会のなかに埋もれていると思います。
それをどうにか流通させることはできないものか。やる気さえあればこんな方法もありますよ、ということで「DIY産直出版」の提唱を続けています。本書では、製本術の部分を解説してまいりました。
自己表現には、いろいろな形態があっていいと思います。それぞれの経験や研究の成果、考えや思想をまとまった形で発表する人が、今以上にふえて流通しだせば、日本の民主主義ももっと発達すると思います。
「DIY産直出版」もその一つの道具になれないかと考えています。
一冊二冊と自著がふえるたびに人生の厚みが増します。「DIY産直出版」を提唱したことが、そんなことの一助になればうれしく思います。
本書でご紹介した道具や材料、そして製本方法を応用して、書籍作りにとどまらず、塾の資料、社内の報告書、プレゼン資料、卒業論文集、お店のPR冊子、サークル文集、お子様の学校での記録集、図画集、写真集、年賀状の保存、メールマガジンを読みやすく冊子に、メモ帳作りなど数えればきりが無いほどの応用が出来ます。
知的文化的な財産として、またビジネスの道具としてご活用くださればこの上ない幸せです。
2003年9月 七 五郎
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